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日清紡マイクロデバイスのGaAs半導体製品の歴史 ~GaAsにも歴史あり~ (後半)あらゆるものをワイヤレスでつなぐ 第3回

03. 日清紡マイクロデバイスのGaAs半導体製品の歴史 ~GaAsにも歴史あり~ (後半)

前回、当社GaAs半導体製品の歴史前半として、製品とデバイスについてご説明しました。
後半の今回は当社GaAs半導体製品のパッケージを中心に説明したいと思います。

GaAs半導体を樹脂封止するパッケージについても少し紹介します。20年以上前の表面実装パッケージはガルウィングタイプと言われる弾性を持たせた金属の端子がついたものが主流でした。外形寸法も長辺が3~7mmほどの大きさで、単機能のGaAs半導体製品でも大きな実装面積を必要としていました。

しかし、高周波信号を扱うためには接地がしっかりとできないといけません。このような大きなパッケージにある長い端子は接地の効果を弱め、特性を劣化させる要因になります。また2000年頃、当時の携帯電話が第2世代から第3世代へと進化をとげ、携帯電話そのものの小型化が進みました。このため、部品に対しても小さく高性能なものが求められるようになりました。

ガルウィングタイプ

このような背景から、GaAs半導体製品の主流は、フラットリードパッケージ (例:FLP6-A1) や、ノンリードパッケージ (例:EQFN14-D7) へと移り変わっていきます。大きさも回路の規模にもよりますが、長辺が2~3mm程度になりました。このような小さなパッケージを採用した製品も2000年台から数多くリリースしています。

2010年台から現在にかけても、携帯電話や通信機器はさらに小型化、高機能化を続けています。さらなる小型化として、GaAs半導体チップにバンプを接続して、直接セラミック基板や樹脂基板に接合するフリップチップボンディングという技術も開発されました。
(※ ワイヤーの代わりに半導体チップと基板を接続する突起状の電極。)

もちろんチップ剥き出しでは信頼性上の問題が生じるので、チップよりわずかに大きいセラミック基板または樹脂基板上に接合し、それを樹脂封止したパッケージとして生産しています。大きさも1mm角前後となり、大幅な小型化が実現されました。

フラットリードパッケージ

その後、携帯電話は第4世代、第5世代へと変化し、特にスマートフォンに代表される薄型機器の流行で、ICパッケージの薄型化も現在では当たり前ながら大事な技術課題です。

RFフロントエンドに採用されるデバイスは往々にしてEMI対策のためにシールドケース内に実装されることがあり、ケースの蓋が閉まるようにできるだけ薄いパッケージが好まれます。このような要望に応えるため、当初セラミック基板を用い0.85mmの厚みだった初期製品も、現在では樹脂基板採用などで究極の薄型化を図り、0.39mm (例:EPFFP6-FA) まで薄くなっています。

小型薄型タイプ

一方で、高集積化への取り組みとして2~3種類のチップを一つのパッケージに搭載する技術も進化しています。従来ではパッケージの外部で接続されるチップコンデンサやチップインダクタもパッケージに取り込んだ、RFモジュールや、ローノイズアンプとSAWフィルターを集積化したフロントエンドモジュールなども開発・生産しています。

RFモジュール
  • ところで、30~40年前の自動車で使われる半導体部品といえばカーオーディオくらいでした。しかし、昨今の自動車は半導体部品が多く搭載され、さらにナビゲーションシステムやETC、携帯電話との接続など通信装置も多く搭載されるようになっています。

    当社のGaAs半導体製品も2010年台より自動車搭載部品の安全性を担保する規格のAEC-Q100に対応した製品を開発・製造しています。皆様が安心・安全に自動車を運転できるよう、さらに品質の向上に向けた取り組みを継続しています。

  • ナビゲーションシステム

現在の当社のGaAs半導体製品は、携帯電話 (スマートフォン、フィーチャーフォン)、PHS、タブレットPC、デジタルテレビチューナ、GNSS機器 (カーナビ等)、そして無線LANやIoT関連機器などの概ね50MHz~8GHzの高周波を扱う無線機器のアナログフロントエンド (アンテナに接続する回路ブロック) 向けに製品化し、世界中で採用されています。

このように日清紡マイクロデバイスのGaAs半導体は、通信が欠かせない世の中となった今、洗練された技術で陰ながら皆さまの生活を支え続けています。

第4回につづく)

2023年5月16日公開

執筆者プロフィール

  • Author

    池中 一成

    自動車電話の時代から通信用ICの企画・設計に従事し、RFデバイスの研究・開発のスペシャリスト。無線通信システムにも造詣が深く、永年培った豊富な知識と経験から社内での技術的な指導でも絶大な信頼を集める。

  • Author

    加藤 岳

    当社RFデバイスで20年以上の製品設計に従事。世界最高レベルの低雑音を実現したLNA等を開発。お客様に喜ばれる小回りの利く製品開発をモットーとして、特出した製品の創出に日々精進している。本Webコラムの代表者。

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