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日清紡マイクロデバイスが考えるIoTと電源IC
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キーパーソンインタビュー
『メンテナンスフリーを実現する超低消費の電源制御技術』
日清紡マイクロデバイスは、これまでCMOS電源技術で世界をリードし、特に携帯電話用途ではW.W.シェア トップクラスの電源ICの老舗である。 いま巷をにぎわせているIoT(Internet of Things)という言葉を日清紡マイクロデバイスはどの様に捉えているのか? どの様なビジョンを描き、どの様な回答を持って市場の拡大に備えているのか? 日清紡マイクロデバイスのIoT戦略のキーパーソンである高橋氏に話を聞いた。
早速ですが、日清紡マイクロデバイスの考えるIoTについてお聞かせください。
あらゆる「モノ」がネットにつながる社会、特にIoTデバイスとしてのセンシング機器が爆発的に増加し、社会的課題を解決する手段になりえるのがIoTであると捉えています。
なぜ、IoT市場に注力したいと思われたのですか?
当社は企業理念として”アナログ半導体を核に新しい価値を創造し、人と地球にやさしい社会の発展に貢献する”を掲げています。 加えて、IoT市場では自立電源、電源の長寿命化、センシング精度が課題となっており、旧来から培ってきたアナログ電源技術が、 それらを実現する手助けになると考えたからです。これはIoTの市場についてわれわれ若手、中堅社員で中心に繰り返し話している中でまとまった考え方です。
IoTシステムの技術的な課題については、どうお考えでしょうか?
センシング機器が増加するとデータ量が膨大になり、ネットワークへの負荷が大きな課題となります。またセンシング機器から得られた情報のセキュリティ、機器の通信距離も課題になると考えています。
今後のトレンドと課題への解決策について
IoTシステムの課題について、当社が提案する解決策をお聞かせください。
まず、IoTデバイス側にAI(Artificial Intelligence)が搭載され、必要なデータの仕分け・暗号化処理、 通信距離を延ばすための通信方式変更が今後のトレンドになります。 このようになった場合、従来では考えられないような「超低消費電流でありながら大電流を流せる電源」が必要になると想定されます。 このため、日清紡マイクロデバイスではいち早く相応なラインナップを取り揃え対応していく予定です。
「超低消費電流でありながら大電流を流せる電源」の特長はどういったものでしょうか。
IoT機器は常に動作しているのではなく、間欠動作をしている場合が多く見られます。 間欠動作の場合はStandby時の電流が機器のスタミナを決める重要な要素となるため、超低消費電流が必要です。 一方、アクティブ時の動作であるデータの仕分け・暗号化処理、通信距離を伸ばすためには、 一時的ではありますが大電流が必要になります。 例えば、1時間に1回、5msの間に1Aで動作するIoTデバイスのStandby時の電流が1μA増加しただけで機器のスタミナが半分になる計算になります。
昇降圧DCDCコンバータ RP604シリーズ
日清紡マイクロデバイスでは、電源ICの特性で重要な出力電圧精度と出力応答性を確保しつつ、消費電流を従来品と比較して約1/90(27.5μA→0.3μA)に抑えた昇降圧DCDCコンバータのRP604シリーズ、消費電流を144nAまで抑えた光発電向け降圧DCDCコンバータのR1800シリーズをラインナップしています。 ともに世界でトップレベルの特性です。(2017/12 当社調べ)
どのようにして出力特性を確保しつつ、消費電流を抑えることができたのですか?
当社のコア技術のため詳しくは申し上げられませんが、プロセスと回路設計が融合した独自の技術を使用することによって、出力電圧精度と出力応答特性を確保しつつ消費電流を抑えることができました。 当社の製品を採用いただくことで、存分にその効果を味わって頂けると考えています。
これらの技術によってセットベンダーが得られるベネフィットを教えてください。
電池レスによるメンテナンスフリー、または電池の長寿命化があります。 あるいは、電源ICの超低消費電流化によるハーベスタの小型化、電池の小型化、それに伴うIoT機器の小型化です。
最後に、今後の展望と抱負をお聞かせください。
われわれ日清紡マイクロデバイスは電源ICが主力事業ですが、ハーベスタや二次電池、センサー、マイコン、通信用ICなどを扱うメーカーと協業し、 世界をリードできるトータルソリューション提案を行いたいと考えています。
今後とも、ぜひ日清紡マイクロデバイスのIoT市場向けの電源IC、およびソリューションに期待してください。
超低消費電流 DCDCコンバータ&ボルテージレギュレータ
IoTデバイス向けRP604シリーズ
RP604シリーズは超低消費と小型化を実現したIoT機器向け昇降圧DCDCコンバーターICです。 (入力電圧範囲 1.8~5.5V、出力電圧範囲1.6 V~5.2V、最大出力電流300mA(降圧時)) 昇降圧であることから、電池電圧がシステム使用電圧を下回った場合でも、昇圧動作により継続して電池の使用が可能になります。 また出力電圧のフラット化により、システム設計の容易化や、急な電源電圧降下に対応してシステム機器の瞬停を防止します。
低ノイズ 低消費電流LDOレギュレータ
IoTデバイス向け
低ノイズLDOレギュレータRP122シリーズでは、出力雑音が8μVrms(10~100kHz)と低く、16bitADC/DACの精度を損なうことなくアナログ信号が扱えます。 また、リップル除去率も90dB@1kHz、85dB@10kHz、65dB@100kHzと高い値を実現しているため、 スイッチングレギュレータなどの後段に使用してもノイズを低減するため、ノイズを気にすることなくIoTデバイスの設計が可能になります。
低ノイズ 低消費電流LDOレギュレータ
光や振動等の発電素子向けR1800シリーズ
R1800シリーズは、光や振動等の発電素子向け蓄電用降圧DCDCコンバータです。 無負荷時・常温でTyp.144nAという超低消費電流で、業界最高レベル*1の起電力720nWを実現、また出力電流10uAの軽負荷時の効率90%も実現しています。 ハーベスタの能力を生かすための最大電力を制御する機能、及び逆流防止機能の搭載により、発電素子からの電力供給の最適化を図りつつ、ハーベスタからの電力供給が無い場合でも蓄電素子にためた電荷を無駄にしないため、非常に効率のよい電力の取出しが可能です。
*1:2017年12月現在 日清紡マイクロデバイス調べ
製品名 | 機能 | IQ | Iout | Vin | 低起電力 |
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R1800 | エナジーハーベスト用低消費電流 降圧 DC/DCコンバータ | 144nA | 1mA | 2.0V~5.5V | 0.72µW |
IQ:動作静止電流