基本機能と検出精度の重要性
リチウムイオン電池の劣化や発熱や発火を避けて、電池を長寿命にするには?
4つの基本検出機能
リチウムイオン電池保護ICにおける、基本の検出機能は4つです。
1. 過充電検出機能
電池セルが過充電状態になることを防ぐ。
充電中にセル電圧が過充電検出電圧に達すると、充電電流を遮断する。
2. 過放電検出機能
電池セルが過放電状態になることを防ぐ。
放電中にセル電圧が過放電検出電圧に達すると、放電電流を遮断する。
3. 放電過電流検出機能
放電電流が放電過電流検出レベルに達すると、放電電流を遮断する。
4. 充電過電流検出機能
異常充電器等で電池パックを充電した場合に大電流が流れることを防ぐ。
それでは、各検出機能の特徴や、精度の重要性、高精度から得られるメリットについてご紹介します。
過充電検出機能
過充電保護は、リチウムイオン電池の保護回路機能の中でも一番重要な機能です。
もし、過充電検出機能がない充電器で異常が発生すると、充電は停止せずに過充電状態になります。電圧が上昇し続けると、電極の結晶構造に歪みが生じ、セルの劣化が生じます。著しい劣化は製品寿命を縮めるだけでなく、最悪の場合には発煙・発火や爆発を引き起こす可能性があります。
過充電検出電圧の精度を上げるメリットとは?
“安全性を確保”しながら
バッテリー性能を
“最大限”に引き出すことができます
- 過充電検出電圧の精度を上げることにより、充電終止電圧を従来よりもさらに高く設定することができます。
- 高い充電終止電圧に設定できるため、バッテリーの充電量を効率よく最大限に増やすことが可能です。
- 充電容量を最大活用できるため、バッテリーの使用可能時間延長に貢献します。

過充電検出電圧の高精度化による充電終止電圧の向上
※ 過充電検出保護の電圧範囲は「過充電検出電圧 > 充電終止電圧」
充電時に過充電を検出すると、充電シーケンス異常と検知され機器の動作がストップする場合があります。

1セルのリチウムイオン二次電池での過充電保護機能は、充電器が正常でない場合の保護になります。
2セル以上の多セル(AFEではない、スタンドアローン版)では、充電器側では直列数に応じたトータルの電圧しかモニタできません。
保護ICで検出する過充電検出が最初の保護機能になります。2重保護が必要な場合には、2nd Protection ICを 使った二次保護回路を設ける必要があります。
近年、2重保護を使うお客様も増加しており、一次保護と二次保護が重複しないように設定することも求められています。 過充電検出電圧の高精度化により、2重保護の場合にも充電量を最大化できる電圧設定が選択できます。
過放電検出機能
もし、過放電検出機能がなければ、放電が続くために劣化が起こります。著しい劣化は製品寿命を縮めるだけでなく、最終的には、充電しても電圧が復帰しない状態(充電不可)がおこります。 過放電検出機能では、放電電流を遮断することで電池セルが過放電状態になることを防ぐことができます。
一般的にシステム側が3V~3.5V電圧まで低下するとシャットダウンします。過放電検出機能は、シャットダウン後の暗電流放電でのセル電圧低下をモニタし、過放電検出電圧を下回ると出力をスタンバイ状態にします。

近年、2重保護を使うお客様も増加しており、一次保護と二次保護が重複しないように設定することも求められています。過放電検出電圧の高精度化により、細かく過放電電圧の設定が可能になります。
放電過電流検出機能 / 充電過電流検出機能
大電流の充電/放電時には、自己発熱によるセルの劣化や、電池(電極を分離するセパレータ)の破壊により発煙・発火、そして最悪の場合には爆発する可能性があります。

なぜ精度が必要なの?
放電 / 充電電流が大きく 保護する電流が厳しくなる中
放電 / 充電保護が効く電流値にも 精度が求められます
高精度が必要となる背景について
【放電】
- 大電力化に伴い、放電電流が年々増大しています。しかし、大電流放電は発熱してセル温度を上昇させて劣化や危険な状況を作り出します。
- 大電流を数値で規制する規格等(例えば通信端末の最大出力電流8AのULのLPS規制)が定められています。
【充電】
- システムで許容する充電電流は、急速充電のニーズに伴い年々大きくなってきています。
FETセンス / Rセンスの選択について
電流検出方式には、FETのON抵抗を用いるFETセンスと、シャント抵抗を用いるRセンスの2種類があります。
一般的に電流検出では抵抗器の両端を挟んで電圧差を測定することで、電流値を読み取ります。電圧測定の際に、FETのON抵抗を用いる方式がFETセンス、シャント抵抗器を別途回路に組み込んで測定する方式がRセンスとなります。
リチウム電池が携帯電話に採用され始めたころは、通常放電電流と保護する電流のマージンが大きく、精度は要求されませんでした。そのため全体のシステムが安価なFETセンスが一般的でした。しかし、近年のスマホやタブレット等の大電流を流すシステムでは、電流検出精度を求めてRセンスが増加する傾向にあります。
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