[解決事例]
回路設計トラブル編~急遽追加するスイッチIC~
急遽の「困った!」を解決します
ほぼ基板の設計が終わっていたのに、後段ICの仕様に落とし穴が…そんな時に急遽、対策部品を追加することはよくあることです。
ここでは、過去にあった事例をご紹介します。トラブル時にどんな対応をしたら良いかを知っておくと余計なトラブルの回避もでき、また起きたとしても迅速に解決できたりします。ぜひ、参考にしていただければ幸いです。
第3回:急遽追加するスイッチIC編
スイッチICは電源ラインに挿入することで、動作に不要な回路への電源供給を遮断することが可能です。そのため、使用するアプリケーションの消費電流を抑えることが出来ます。単純な電源供給のON/OFFのみであればスイッチICはFETでも代用することが可能ですが、ソフトスタート機能や保護回路などの機能を追加することが出来ます。
今回は、その機能追加が役に立った事例を紹介します。
トラブルが起きた背景
アプリケーションの電源ラインは、3.3V電源が直接負荷デバイスAとBにつながっていた。しかし、起動の際には負荷デバイスAは負荷デバイスBの入力電圧がある程度上がってから入力電圧を印加したい。このようにシーケンシャルに動作をさせたいが、今の回路では所望の動きにならない。

お客様の課題と検討項目
実際のお客さまの環境を確認すると、以下のことが分かりました。
また、このトラブルを解決するためには、いくつかの事項を考慮に入れる必要があります。
お客様へのヒアリング | 検討すべき項目 |
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入力電圧 |
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実装面積の考慮 |
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電圧降下の考慮 |
部品の選定
お客様へのヒアリング結果を元に、まずは入出力電圧と出力電流で絞り込みを行いました。
スイッチの種類について
- 通常、電源ラインに使われるロードスイッチは、低電圧入力が可能であることを特長としているものが多いため、今回の解決策としては適さない。
- USBスイッチも仕様としては近い傾向だが、小型の製品がない。 (R5524Kは、1.8mm×2.0mm)
- ON抵抗が100mΩ以上と、仕様に適さない。

結論
以上の点を考慮すると、候補はOVPスイッチのR5528Zシリーズが最適
- UVLO機能がついており、解除電圧がtyp.2.05Vと起動開始電圧が仕様と合う
- WLCSPで、1.27mm×1.27mm(厚み0.64mm)と小型パッケージ 電流容量が3Aと十分な電流を供給できる
- ON抵抗も100mΩを下回る54mΩ(@5V)での使用が可能
- イネーブルが"L"アクティブなため、ENB端子をGNDに接続しておけば、電源供給でONにできる デバウンス時間があり、誤動作する可能性も低い

R5528Z001Aブロック図
急遽の
「困った!」
"スイッチICの追加" で解決できます!
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今回は、スイッチICを電源供給ラインに追加することで、不具合を解消することが出来た事例でした。
通常、電源ラインにはロードスイッチを挿入しますが、製品の機能や特徴から過電圧検出スイッチを活用することで 的確なトラブル回避を行うことが出来ました。