入力換算雑音電圧(en)

1.入力換算雑音電圧enの目的
入力換算雑音電圧enは、オペアンプの内部から発生する雑音電圧を入力に換算したものです。このenを使う事により、様々な電圧利得、応用回路でオペアンプの出力雑音を求める事が出来ます。

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図1 入力換算雑音電圧enの目的

2.入力換算雑音電圧と周波数帯域
入力換算雑音電圧の単位は、V/√Hzです。図2のボルテージフォロワでは、式(1)に示すように入力換算雑音電圧に帯域の平方根を乗ずる事により、出力雑音の実効値を求める事が出来ます。出力雑音電圧は、帯域の平方根を乗ずるため、周波数帯域に依存し、帯域が広くなると出力雑音電圧も大きくなります。

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図2 ボルテージフォロワの出力雑音計算

3.入力換算雑音電圧の周波数特性
オペアンプの代表的な2つの雑音を示します。

3.1 白色雑音(ホワイトノイズ):周波数によらず一定の領域の雑音は白色雑音です。電気的特性の入力換算雑音電圧は、この領域の雑音を示すのが一般的です。NJM2904Cのen=30nV/√Hzは、f=1KHzで規定されています。尚、白色雑音はガウス分布に従います。

3.2 1/f雑音:周波数が低くなるにつれ雑音レベルが上昇します。この領域の雑音を1/f雑音と呼びます。白色雑音と1/f雑音の漸近線の交点の周波数を、1/f雑音のコーナー周波数と言います。一般的なバイポーラオペアンプのコーナー周波数は100Hz以下ですが、CMOSオペアンプのコーナー周波数は、バイポーラに比較して高くなります。従って、低周波システムでCMOSオペアンプを選択する場合は、1/f雑音に注意する必要があります。

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図3 入力換算雑音電圧の周波数特性例
雑音の計算方法

1.雑音計算回路
図1(a)、(b)、(c)、(d)に示した応用回路の出力雑音は、図2の回路を用いて計算することができます。尚、図2の回路抵抗値は、表1に従い変更します。

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(a)反転増幅器
(b)非反転増幅器
(c)加算回路
(d)減算回路

図1 オペアンプ応用回路例

表1 抵抗値変更
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図2 図1(a) 図1(b) 図1(c) 図1(d)
R1 R1 R1 R1//R3 R1
R2 R2 R2 R2 R2
R3 0 0 0 R3//R4

図2 雑音計算回路

2.出力雑音計算式の導出
図2の回路に、オペアンプの入力換算雑音電圧 と抵抗の熱雑音 を追加した回路を図3に示します。 抵抗の熱雑音は式(1)、(2)で表され、出力雑音電圧は式(3)となります。

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図3 オペアンプと抵抗の雑音源を含んだ計算回路

3.出力雑音計算:出力フィルタ有
図4(b)に示す様にLPFの遮断周波数まで電圧利得が一定の回路では、出力雑音は式(4)により求める事ができます。

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図4(a) フィルタが接続されている回路
図4(b) 電圧利得と出力雑音の周波数特性
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4.出力雑音計算:出力フィルタ無(オペアンプ単体)
オペアンプ単体の場合、図5(b)に示す様に遮断周波数より高い周波数で利得が減少するため、出力雑音も減少します。利得が-6dB/octaveの傾きで減少する回路では、出力雑音は式(7)により求める事ができます。

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図5(a) オペアンプ単体回路
図5(b) 電圧利得と出力雑音の周波数特性
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