オープンループ電圧利得(AV) & 利得帯域幅積(GBW)
1.オープンループ電圧利得の周波数特性
オープンループ電圧利得は、オペアンプ単体の電圧利得です。その特性は周波数が高くなるにつれ次の特性があります。
- 1.1 オープンループ電圧利得のDCの値がスペック値です。低周波領域ではスペックと同一の電圧利得になります。遮断周波数に近づくにつれ低下し、遮断周波数では約3dB低くなります。
- 1.2 遮断周波数より高い周波数領域では、電圧利得は-6dB/octaveの傾きで減少します。
- 1.3 周波数が高くなると-6dB/octaveの傾きから乖離するオペアンプがあります。
- 1.4 電圧利得が0dBとなる周波数をユニティーゲイン周波数と呼びます。
2.利得帯域幅積GBWの定義
利得帯域幅積GBWは、利得と周波数の積で表されます。但し、周波数特性が-6dB/octaveの直線上にある時に限ります。
GBW=利得×周波数 (1)
この関係から、電圧利得から遮断周波数を求めたり、逆に周波数から電圧利得の最大値を求める事が出来ます。
3.信号周波数とループ利得
信号周波数の最大値f1とクローズドループ電圧利得の遮断周波数f0は、f1<f0の関係が必要ですが、それだけでは不十分でループ利得を考える必要があります。ループ利得は、オープンループ電圧利得とクローズドループ電圧利得の差です。ループ利得が大きければ、より正確な出力信号が得られます。例えば、信号周波数の最大値がf1からf2に変化した場合、f2のループ利得は小さくなりますので、出力信号の精度としては劣化します。必要なループ利得はシステムにより異なります。
ループ利得が不足していると判断した場合は、
3.1 より広帯域のオペアンプを選択します。
3.2 クローズドループ利得を下げて広帯域化します。不足した利得は増幅段を追加して補います。