新製品ニュース
2016年08月04日
医療用/非破壊検査用 LINAC装置向け メガワット級マグネトロンを開発
新日本無線株式会社(本社:東京都中央区 代表取締役社長:小倉 良)は、これまでのレーダー装置向けマグネトロンに加え、新たに医療、非破壊検査分野に使用されるLINAC(ライナック)*1 装置向けの高出力マグネトロンを開発してきました。
今回、3GHz帯および9.3GHz帯マグネトロンの開発が完了し、各種のアプリケーションに最適な製品供給を開始しました。
概要
医療用ライナック装置は、X線でがん細胞を消滅させて治療を行うもので、日本各地の病院に設置されております。このライナックには高出力のマイクロ波を供給するマグネトロンが使用されています。
近年、X線の照射精度向上や装置の小型化を図るために、マグネトロンは従来の3GHz帯からより高い周波数である9.3GHz帯に移行しています。ニーズに対応するために、9.3GHz帯においては出力電力が世界最高水準のマグネトロン(写真1)の開発を行い、製品供給を開始しました。これにより、ライナック装置をロボットアーム先端に取り付けが可能となり、広範囲の角度からわずか0.5mmの高精度でがん細胞にX線の照射できる装置が実用化されます。
これらのライナック装置に最適なマグネトロンを供給でき、また様々な非破壊検査装置の応用拡大が期待できます。
特長
- 世界最高レベルの高出力マグネトロン
最大3.2MWのマグネトロンをラインナップしており、9.3GHz帯マグネトロンとしては世界最高レベルの高出力製品を有しております。高出力製品は検査や治療時間の短縮に寄与します。 - 業界トップレベルの小型・軽量
小型・軽量は業界トップレベル、装置の小型化が要求される医療用ライナック装置に最適です。 - 高安定特性と長寿命の両立
周波数の安定性が非常に高く、ライナック装置への最適なマイクロ波給電が可能です。また、アーキング(異常放電)が少ない事で、装置の安定稼働を実現できます。更に、当社従来品と比較して長寿命化を実現しています。

ラインナップ
M1466シリーズ:Sバンド/周波数3.0GHz帯 | |
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M1603 | 1.5MW |
M1466A | 2.8MW |
M1466N | 2.8MW(デュアルエナジーモード対応) |
M1466T | 3.2MW(高出力高デューティ対応) |
MM7637シリーズ:Xバンド/周波数 9.3GHz帯 | |
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MM7637 | 1.6MW(高出力低デューティ対応) |
MM7638 | 2.0MW(高出力低デューティ対応) |
MM7639 | 650KW(中出力高デューティ対応) |
MM7640 | 1.0MW(中出力高デューティ対応) |
* 出力電力はピーク出力電力を表示
*1 LINAC(ライナック・リニアック)は、直線加速器のことで、X線や電子線を発生させる機器に使用されます。