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プレスリリース
2023年6月29日

15µA 低消費、Zero-Drift、入出力フルスイング、高EMC性能
2回路入りオペアンプ「NL6012」発売

日清紡マイクロデバイス株式会社 (代表取締役社長:田路 悟) は、2回路入りオペアンプ「NL6012」を2023年6月より発売いたします。

近年、人々の健康への関心や、環境汚染に対する意識が高まっており、カーボンニュートラルを目指す企業や団体が増えています。環境対応を進める上で、CO2や温度などのデータを検出するために環境測定機器が使われています。これらの機器ではまず環境センサーが外部環境情報を電気信号に変換しますが、この信号を正確に増幅し、適切に処理できるようにするのがオペアンプの役目です。
NL6012は、入力オフセット電圧10µV max.、オフセット電圧ドリフト0.05µV/°C max.を達成した当社史上最高精度のオペアンプです。電気信号を正確に増幅し、処理することでセンシングシステムへ与える影響を極限まで低減できるため、機器の精度面に関する設計工数、コストを削減します。

製品名 NL6012
サンプル価格 (1000個購入時の参考価格/税込) 286円
サンプル受注開始 2023年 6月 29日
月産規模 50万個
  • 2023年6月現在の消費税率に基づいて金額を表示しています

特⾧

1. 省エネ性能と高いDC性能

ゼロドリフトオペアンプは温度変化に対して優れた安定性を持つ低入力オフセットが特長です。ゼロドリフトオペアンプはチョッパー安定アーキテクチャーと呼ばれるDCオフセット成分を変調し、高周波にシフトさせ、カットすることで高い精度を実現します。これにより、入力オフセット電圧と温度ドリフトがキャンセルされます。特に温度に対する安定性はマイコンでの補正が難しいため、製品設計や生産工程において重要な特性になります。

近年、電子部品の省エネが進んでいますが、低消費を進めるとICの性能が背反となります。これはゼロドリフト内部のチョッパー回路も同様で、高性能化のためにはキャンセル回路自身のアナログ性能を高める必要があります。NL6012はIC内部の電流を細かく最適化することで、15μAという低消費電流ながら、入力オフセット電圧10μV max.という高い性能を実現しました。 グラフ①は同じ低消費のゼロドリフトオペアンプとのオフセット電圧ドリフトの比較です。一般品CとNL6012は、どちらもデータシート上で0.05µV/°C max.と同じ規格値ですが、グラフ②の通り、NL6012の実測値は±0.01µV/°C程度と、非常に小さく、良い特性値を示しています。そのためNL6012はお客様の製造ラインの調整作業や、測定器の自動校正作業を不要とし、作業効率向上や製造コスト削減に貢献いたします。

【グラフ①:データシートでのスペック比較】

データシートでのスペック比較

【グラフ②:実測値での比較】

実測値での比較

2. 高い温度安定性

NL6012は温度安定性に優れた製品です。一般的な半導体素子は高温になるほどリーク電流が発生します。リーク電流は非常に小さな電流ですが、低消費オペアンプの場合、オフセット特性や消費電流などIC性能の悪化を招きます。したがって高温でのリーク電流を抑えることが機器の安定化につながります。NL6012はオペアンプの素子一つ一つに徹底的な高温リーク対策を行うことで高温下でも高い特性を示します。

グラフ③はNL6012と一般的なゼロドリフトオペアンプの入力オフセット電圧温度特性比較です。NL6012は125°Cにおいても入力オフセット電圧の変動が起こらず、非常に高い温度安定性を示します。そのため産業機器センサーや、工場等での過酷な環境でも安心してお使いいただけます。

【グラフ③:ゼロドリフトオペアンプの入力オフセット電圧温度特性実測値比較】

ゼロドリフトオペアンプの入力オフセット電圧温度特性実測値比較

3. ADCとの接続を考えた高い発振安定性

ゼロドリフトオペアンプは、センサーの微小信号を誤差なく増幅し、増幅した信号をADCに伝える役割をします。産業機器に多く使われている逐次比較 (SAR) 型のADCは高精度化が進み、本来の性能を活かすためには入力に接続するフィルタ設計が重要になります。このフィルタは場合により大きな容量となるため、通常のオペアンプでは安定性が低下し、発振の要因となります。NL6012は1000pFという負荷容量に対して高い安定性があり、入力フィルタ設計において、低減衰を実現し、ADCの性能を最大限に引き出します。

優れたフィルタ性能で発振を防止

4.高EMC性能

昨今の電子機器のIoT化により、様々な機器がインターネットに接続されることで、通信信号からのノイズを受けやすくなりました。高精度測定の実現のためにはこれらのノイズに対しても入力オフセット電圧値に影響を与えないようにする、ノイズ耐性も重要となります。ノイズに対する耐性としてEMI Rejection Ratio (以下、EMIRR) という指標があります。これは100mVのAC信号の印加に対する入力オフセット電圧変化量を示したものです。

NL6012は主に携帯電話などで使用される1.8GHz下では100dB以上のEMIRRがありますが、これをオフセット電圧に換算すると1µVとなります。NL6012は200MHz以上で80dB (オフセット電圧10µV換算) 以上のEMIRR性能を備えます。 IoT機器や、無線を扱う機器に対するロバスト設計をお助けします。

外来ノイズ環境でも高精度を実現

製品写真

NL6012 (VSP-8-AF)

NL6012 (VSP-8-AF)

主な仕様 (詳細はデータシートをご参照ください)

(V+ = 5V, V = 0V, 標準値)

  • 低入力オフセット電圧: 10μV max.
  • ゼロドリフト: 0.05μV/°C max.
  • 低消費電流: 15μA/ch
  • 入出力フルスイング
  • 電源電圧: 2.1V to 5.5V
  • 入力バイアス電流: 30pA
  • GBW: 260kHz
  • スルーレート: 0.11V/μs
  • 電圧ノイズ: 60nV/√Hz
  • EMIフィルタ内蔵
  • 動作温度: -40°C to 125°C
  • 2回路入り
  • パッケージ: VSP-8-AF

想定アプリケーション

  • バッテリー動作機器
  • センサーインターフェース
  • 温度センサー

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    管理本部 総務部 総務課

このページに掲載されている内容は発表時のものです。既に販売終了になっている商品や、内容が異なっている場合があります。